え? 言ってることとやってることが矛盾してるんじゃない?
という話ですが・・・
石油王はコツコツ派?
石油王と言われたジョン・D・ロックフェラーですね。彼の名言としてこういうものがあります。
「いかなる種類の成功にとっても粘り強さほど大切なものはない。粘り強ささえあれば、ほぼなんでも乗り越えることができる」
それからこんな逸話もあります。
ロックフェラーはよく、少年少女相手に講演したというんですね。
で、そのとき少年少女に対してよく言ったことが
「一生懸命働くこと。無駄遣いしないこと。お金を大事にすること」
それから決まって少年少女に10セント硬貨を渡して、
「毎日10セントずつ貯金すれば私のようになれますよ」
と説いたそうです。
以上のことを見ますと、ロックフェラーは粘り強くコツコツ同じ仕事に打ち込んで、最後は大成功したんだな、なんて思ってしまいそうですよね。
地道にコツコツ継続したイメージ。
ところが。
違うんです。
石油王は投機家
ロックフェラーさんは若い頃、貧乏な頃からお金をためては、それどころか借金してまで、商品相場など投機的なことにお金をつぎ込んでいたそうです。
そうして失敗したり成功したりしつつも経験を積みかつ資金もある程度増やし、その過程で決定的に人生を変えるようなチャンスをつかみます。
とある石油精製事業の専門家からのオファーを受けて資金を提供し、二人で精油所を立ち上げたんですね。これが大成功して石油王への階段を登り始めるというわけです。
つまり。
ロックフェラーさんは同じ仕事をコツコツ粘り強く続けていたわけではないということですね。
投機的なことを繰り返してきたことからも分かる通り、チャンスとみるやリスクを取ってそれをつかもうとしていたわけです。
そうやってリスクを取り続けた結果、本物の大チャンスをつかんで「精油所の大成功」を達成できたというわけですね。
矛盾してない? 矛盾してない
これを聞いて、冒頭に紹介したロックフェラーさんの言葉と矛盾するんじゃないか、と思う人もいるはずです。
あっちこっち投機的にお金を使ってしまって、ぜんぜん粘り強く働いてないしお金を大事にしていないじゃないかと。
でも、当のロックフェラーさんの中では、矛盾していないんじゃないかと考えられます。
たとえば
「いかなる種類の成功にとっても粘り強さほど大切なものはない」
投機的なことを繰り返していますが、これはこれで、チャンスとみるや粘り強くリスクを取りに行っていたわけです。
2~3回失敗して、
「ああ、俺はついてない、やっぱり駄目だ」
なんて考えず、何度でも捲土重来リスクを取りに行っているわけです。その結果、大きなチャンスを掴みます。
じゃあ、
「お金を大事にしなさい」
「毎日10セントずつ貯金しなさい」
というのは?
これもやはり矛盾していません。
つまり、チャンスが巡ってきたときのためにお金を大事にし、ためておきなさいということです。
ロックフェラーさんはこれも実行し、チャンスと見るやそれまで大事にためていたお金を投入していたわけですね。
そういう意味じゃなかった
結局のところ。
「粘り強く働く」
「お金を大事にする」
この言葉の捉え方が、我々一般的な日本人と、ロックフェラーさんとは違うというわけです。
「粘り強く働く」と聞くと、我々日本人の多くは、「同じ仕事を地道にコツコツ継続する」と解釈してしまいます。
ところがロックフェラーさんは「何度失敗しても粘り強くチャレンジを続ける」という意味でこの言葉を使っているようです。
「同じ仕事を地道に継続する」ようなリスク回避的な生き方ではなく、積極的にリスクを取り続けています。
また、「お金を大事にする」ことについてもこれは、「チャンスが訪れたときにそれを掴みに行くためためておく」ということなんですね。
だって毎日10セントずつ貯金するだけでは、どう考えてもロックフェラーのような大富豪にはなれませんから。
ただ貯めるのではなく、チャンスが訪れた時のためにためておくわけです。
そうしてリスクを取ってチャンスを掴みに行かない限り、大きな成功はありえないということですね。
もちろん、なんでもリスクを取りに行けばいいというものではありません。
リターンあってのリスクですからね。リターンのほうがリスクより大きくないと意味がありません。
また、リターンのほうが大きい場合であっても、リスクが自分の許容量を超えている場合は避けるべきです。
一度失敗したら再起不能になるような大きなリスクでは、「粘り強くチャレンジを続ける」ことなんてできませんから。