まず、法律で「副業してはいけません」とか、逆に「副業禁止をしてはいけません」とか規定されているのかということですが・・・
法律ではどうなっているのか?
法律上「副業をしてはいけない」となっているのは公務員だけで、一般の会社員の副業を禁止する法律はありません。
だから、副業禁止の根拠は、会社ごとの就業規則のみ、ということになります。
じゃあ「副業禁止をしてはいけない」という法律はあるのかというと・・・これは「ある」と言っていいでしょう。
ただ、「法律」ではなく憲法なのですが。^^;
私たちには基本的人権として「自由権」というものがありますし、職業選択の自由があります。
なので全面的に「副業禁止」というのは認められない・・・ハズ。
ただ、憲法というのは会社を取り締まる法律ではなく、「国家権力が勝手なことをしないように縛る」ためのものなので、副業禁止に関しては結局、
「当事者同士の合意次第」
ということになるとも考えられます。
裁判所の判例は?
ということで、裁判所はどういう判決を下しているのかと。判例を見てみますと・・・
まず「副業を禁止していいのか」ということですが、判例では
「絶対的禁止でない、合理性の認められるものなら許される」
とされています。(小川建設事件・東京地裁・昭和57年11月19日)
じゃあどういう場合に合理性が認められるのか?ということですが、それに関しては以下のような判例があります。
まず、
「副業が原因で、会社を継続的に休んでいた場合」
これは副業禁止規定を理由に懲戒解雇されても仕方ないとされています。(阿部タクシー事件・松山地裁・昭和42年8月25日)
逆に、病気休職している間に副業をしていたという例では、
「会社に対する労務提供に格別の支障を生じさせないものについては、就業規則で禁止される二重就職にはあたらない」
という判決が出ています。
判例を見てもわかるとおり「副業禁止自体がダメ」と言っているわけではないんですね。就業規則で兼業副業を禁止することは法律上許されるというのが裁判所の考え。
ただ、副業禁止するなら「合理的な理由」が必要で、「なんでもかんでも副業禁止」というのは許されない、という考えです。
どういう場合に副業を禁止していいのか
じゃあどういう場合に「副業禁止が合理的」と判断されるのかということですね。これには以下のようなケースがあります。
①本業に支障が出る
②本業と競合関係になる
③会社の信用を落とす
ということで・・・当たり前といえば当たり前な基準。この3つの基準は、副業とは関係なく会社が禁止してもおかしくないことですよね。
①は上記の判例にもありましたけど、副業に熱心になりすぎて本業の方を休んでしまったり仕事が疎かになったりということですね。
これ、副業関係ないですよね? 原因が副業だろうが何だろうが、正当な理由もなく欠勤が続いたら会社から罰せられても仕方ないですよね。
②にしたってそうです。自分の会社と競合するような副業をしているということは、会社にとって「不利益」になる行為をしているということなので、これも会社から罰せられても仕方ない。
③も当たり前ですよね。会社の信用を落とすようなことをしたら、その原因が副業であろうとなかろうと、会社が怒るのは当然のこと。
ということなので、自分がやっている副業が禁止されるのかどうかというのは、上記3つの基準のごとく「常識的」に考えればわかることなんですね。
逆に言えば、上記のどれにも当てはまらない、つまり会社に対して何の不利益にもならない副業なら、禁止されるいわれはありません。
ただ・・・ですね。
法律上許されても、手順を間違えば…
いくら「法律上大丈夫」と言っても、日本の会社にはありますよね・・・「空気」的なものが。
つまり、就業規則で「副業禁止」ってなってるけど、法律上問題ないから副業やってます、と主張したところで・・・職場の「居心地」が悪くなることは十分考えられます。
懲戒処分こそ受けないものの、扱いが悪くなるということもあるでしょう。
だから、無難な手順としては、まずは就業規則を見ることですよね。これで副業禁止になっていなければ堂々と副業に取り組めます。
副業禁止になっていたとしても、判例に見るとおり「絶対的禁止」「全面禁止」はできないわけだから、自分の会社の場合、どの程度副業に対して寛容か、それを探ってみることですね。
その過程で、上司とか然るべき相手に相談してみるというのもいいでしょう。
それで寛容なようなら、許される範囲で副業に取り組むことができます。
厳しい場合でも・・・認められやすい副業、認められにくい副業というのがあります。
会社に認められやすい副業とは
認められにくい副業はどんなものかというと、本業に支障が出そうなものですよね。
たとえば、会社が終わったあと、コンビニで6時間バイトをするとか。これだと疲れと睡眠不足で本業に支障が出る可能性が高いですよね。
その点、アフィリエイトは「認められやすい副業」だといえます。なぜなら、自宅でサイトを作るだけだから。
これなら副業に対して厳しい会社でも、
「それくらいならいいんじゃないかな」
ということになりやすいです。
「いやね、毎日ブログを書くだけなんですよ」
「だから会社での仕事が疎かになるってことはないです」
「ほら、私のブログが成長したら、ブログで会社の商品の宣伝もできますし」
「ネットビジネスの勉強は会社の仕事にプラスになると思うんですよね」
なんて説明すれば、認められやすいと思いませんか?(笑